2011-01-01から1年間の記事一覧

いちねん

春 桜の亡骸が 美しく 地面に触れていた 夏 セミと鳥と 二つの 合意を耳にした 秋 死者は それは楽しそうに 棺を運んでいた 冬 この世の 境目が 猫の瞳の その奥に あることを 見てしまう

痛み

トックン トックン ドックン ドックン からだに こころに 沁み渡る 色褪せた 嘆きに 傷の痕 7年目の冬 やっと 到着しました あなたの心。 ドックン ドックン ドックン ドックン 今では 遅い、 遅すぎた ごめんなさい。

車の音 よりも 自転車の音 よりも 人人の声 よりも 足音 よりも 何の音 よりも 空に広がる 雲と雲の その隙間から 奏でる かすかな音が 頭いっぱいに 広がって いました。

おかえり、と 思い出された 久しぶりの朝が 声掛ける。 ああ いたんだ いてくれたんだ。 すきまだらけの ここに いたんだね。 ギュッと 掴んでくれてて ありがとね。

おかね

おかね おかね おかね お財布 忘れて 見えたのは、 出しゃばりで ちょいと きちゃない カタマリ。 ヒョロリと のびた毛 ハズカシ ハズカシ えいっと 引っこ抜く。 見上げた空は 天高く、 スイスイ 進む 自転車に きれい さっぱり 笑顔が ひとつ。

お寝坊しちゃった お月さん。 少し 暗い お空に 不安を感じた やさしい どこかの だれかさん、 墨を すって うっすら 「ノ」と かきました。 遅れて やってきた お月さん キンキラ お洋服に 身を包み 「ノ」の字を ソッと 胸にしまい 今日も 一日 はじめます…

はがして はがして はがしとり けずって けずって けずりとり むしって むしって むしりとり 形も においも 音だって なぁんにも ナクシテ ナクシテ ナクシタテ それでも これでも ある、いる。

ゆく

みどり色の 夜空が 広がる その日、 温かな 握手を 求められました。 ありがとう、と。 こちらこそ、と。 恐れることはない 悲しむことはない 苦しむこともない その、すべてが 抜き取られ その、すべてが 逝くのだから…。 ただ、 この、カラダの この、ココ…

思考

めくる めくる 一枚 めくり もう 一枚 めくる 次の 顔が 出てきやしないか、と。 でも 一枚 先も もう 一枚 先も 同じ顔 落ちた 欠片に 楽しみでも 苦しみでも なんでもない 視線を 落とす。 めくって めくって めぐるのは なんだろか。 同じ顔 同じ破片 同…

ごあいさつ

ひんやり つめたい 空気吸い スッと こころに隙間でき 切なく 哀しく 人恋しく 空いた心に秋廻る。 お元気ですか、と 尋ねては 心の隙が埋まりそう 元気ですよ、と 下されば 秋を満喫できそうです。

わたし

朝 自分の 顔が ある、と 驚いた。 まんまる お目目が ヒックリ びっくり 裏返る

あまりにも きれいで きれいで こころ トキメイテ。 ちょいと つまんで キュッ キュッと 磨いて 指輪に しました。

愚か者

飛び込んできた あなたの 呼吸 苦しそうで 悲しそうで ウロウロ しました。 灰色の不安が 出口を 探しに ウチに 来たみたい。 どうか 落ち着いて どうか ゆっくりと。 次の瞬間 窓 閉め 息を 殺し そっとする。 苦しくて 悲しくて こちらへ おいでと 手招き…

色ぬり

ゴシっ ゴシっ 力を入れて 黄色出す サッササ 力を抜いて 赤色出す この行為 この方法 この視点 ある日 違う感覚 芽生えたの。 突っ切れ 吹っ切れ ここどこだ この手 この目 この感じ。 振り返り 思い返し 裏返し どこにも ないこと 見定めて 足だし 手をだし…

ポケット

かざり。 入れ物。 たまに 手をいれ 安心を いれる。 わたしで いれるため。 いまは たくさんの ポッケが いるんだ。

ケチ

はい、 この際 認めましょ。 恥ずかしながら、 申し訳ないながら 『ケチ』 なんです。 だけどね だからかね 懐 いっぱいの 心 いっぱいの そりゃ、もう 色とりどりの お花畑を お渡し したい、 そう思うのです。 溢れるばかりの 終わりもない 温かい こころ…

イモムシ

イモムシ イモムシ くーるくる 幼い頃から 欲しかった。 イモムシ イモムシ くーるくる ずっと ずっと 前から 欲しかった。 包まれて 包まれて ギュッと つよく 包まれて。 温かさと 安心感。 今は まだ ビョーキという 名の イモムシさんに 包まれて。 わた…

端にいた

お空の 端の 端に いた。 どうやら 触っちゃ いけない 星に触れ ポタリと 地上に 落としてしまう。 ダメだった、のか それとも よかった、のか。 白い ふんわりした 花だった。

今宵は

昼間の お日様 モテた日に、 明るい 月夜で 月浴び したの。 ジャリ ジャリ 公園歩きつつ。 出れ なかったから。 見れ なかったから。 感じれ なかったから。 それでもね こんなに 明るい 夜に 出会えたさ。

オレ

『オレ』は 『オレ』は 『オラ』ぁ 天から 降ってく こんな音。 小気味 イイ。 リズミカル。 こんな 気分は はじめてか。 『オレ』は 『オレ』は 『オラ』ぁ 『オラ』ぁ… きょうは こんな 音が 降ってきた。

暗闇で 解けなくて 苦しくて 出口を 探して 泣き 叫ぶ。 鍵かけ 蓋を するのは 誰だろか。 数えきれない こころに 蓋する ヤツが いる。 自分でも 他の 誰にも 解けない 蓋がある。

ノー

あれに ノーと 言う。 これに ノーと 言う。 それにも ノーと 言う。 口を とがらせ ノーと 叫ぶ。 涙を ためて イエスと 言う。 わたしに イエスと 叫ぶのだ。

春よ

ピンク色に 染まった 春を買う。 呼ばれた 春は 軽やかで ルンルン 鼻歌なんて うたってる。 クルクル 踊りなんて おどってる。

ほうったらかし

サイナラっ と 扉をバタンっ と 閉じてみた。 ツカッ ツカッ 背筋を伸ばして 歩いてみたの。 放ったらかしの 表情 放ったらかしの 感情 『放ったらかし』も 忘れてた。 ぜんぶ 放って 散らかして クチャクチャ 気分で ワラワラ 笑っているか。

チョコ

涙 涙 涙で カケタ チョコ。 真っ暗闇で カケタ チョコと 涙した。 もー いい、 もー いい、 もー いいよ。 カケタ チョコは こう 言った。 はじめまして 甘い チョコ。 どうぞ よろしく 甘い チョコ。 ほろ苦 わたしは こう 言った。 たくさん たくさん あ…

口から

口から 手がのびる 口から 涙が溢れる 口から 絡まる糸が 口から 炎が飛び出て 口から…。 乾いた口が 欲する あなたの ことば。 ことばが 欲しい。 あなたの ことば。 狂わしいほど ほしい あなたの ことば。

ひかり

きらきら 光る お日様より ゆらゆら 揺れる 影が 今日は やさしい。

歪み

それは もう、 ゆがんで ひん曲がって つぶれて バラバラに。 苦痛の すべてを 背負った かお 勢ぞろい。 醜い 汚い そうじゃなく、 痛く 切ない 悲しみが 細い 細い 神経回路を ヒリヒリ させる。

母よ

ねずみの ように クルクル 走ってた あなた。 大きな口で ヤイヤイ 言った あなた。 キッと 顔をしかめて イライラ虫に 蝕まれた あなた。 手をだし 足をだし 心をだし 悪をだしきる あなた。 あなたに なりたくない あなたに 似たくない あなたの ように あ…

そろそろ ぞろぞろ やってきた。 無数の 指が 無数の 手が そろそろ ぞろぞろ やってきた。 いつか いつかと 待っていた。 こころの 準備は 如何ほどか。 からだの 準備は 如何ほどか。 無数の 指もつ 無数の手。 たった ひとつの ために 伸びてきた。 とま…