自然

夜のつくりかた

闇からたち現れ 羽根を重ね伸ばし 弧を描く さざ波引き連れ 雲となる 光を抱え 闇を引き寄せ 夜となる

つばさ

つばさを持った 空を 知っているだろうか。 光を受けて 音をつかみ 飛び立つ。 闇と静寂を 落として。 世界は 己に向かい 小さな光が ポツリ ポツリと 放ちだす 空が 再び広がる そのときまで

皮はぎ

まだ 泳いでいる つもりみたい。 つい さっきまで いたはずの 透き通った ひろーい 世界を みせてくれた まだ 泳いでるよって。 そうかい そうかい、と。 仕方なく そっと しておいた

ごちそうさま

太陽が 食われて ゆくのを みていた。 最後に 頭を出して もう一度 見せた 顔は 少し ひん曲がってた。 やつは 口の傍に つけた 太陽を 拭って ニンマリ 言った。 どうも、 おつかれさん。 と。

ヒュルリ

きょうは いちにち 風と 太陽が やさしく 遊んで くれました。

車の音 よりも 自転車の音 よりも 人人の声 よりも 足音 よりも 何の音 よりも 空に広がる 雲と雲の その隙間から 奏でる かすかな音が 頭いっぱいに 広がって いました。

おかえり、と 思い出された 久しぶりの朝が 声掛ける。 ああ いたんだ いてくれたんだ。 すきまだらけの ここに いたんだね。 ギュッと 掴んでくれてて ありがとね。

お寝坊しちゃった お月さん。 少し 暗い お空に 不安を感じた やさしい どこかの だれかさん、 墨を すって うっすら 「ノ」と かきました。 遅れて やってきた お月さん キンキラ お洋服に 身を包み 「ノ」の字を ソッと 胸にしまい 今日も 一日 はじめます…

ゆく

みどり色の 夜空が 広がる その日、 温かな 握手を 求められました。 ありがとう、と。 こちらこそ、と。 恐れることはない 悲しむことはない 苦しむこともない その、すべてが 抜き取られ その、すべてが 逝くのだから…。 ただ、 この、カラダの この、ココ…

あまりにも きれいで きれいで こころ トキメイテ。 ちょいと つまんで キュッ キュッと 磨いて 指輪に しました。

端にいた

お空の 端の 端に いた。 どうやら 触っちゃ いけない 星に触れ ポタリと 地上に 落としてしまう。 ダメだった、のか それとも よかった、のか。 白い ふんわりした 花だった。

今宵は

昼間の お日様 モテた日に、 明るい 月夜で 月浴び したの。 ジャリ ジャリ 公園歩きつつ。 出れ なかったから。 見れ なかったから。 感じれ なかったから。 それでもね こんなに 明るい 夜に 出会えたさ。

春よ

ピンク色に 染まった 春を買う。 呼ばれた 春は 軽やかで ルンルン 鼻歌なんて うたってる。 クルクル 踊りなんて おどってる。

ひかり

きらきら 光る お日様より ゆらゆら 揺れる 影が 今日は やさしい。

覆われて 包みこまれ 遠くの 方で 見えなくて でも そこにある。 消えなくて、 存在していて じっと じっと 見つめてる。 むき出しの それとは 距離を置き、 またイツカ ヒョイっと 現れ 出るときに それと 向き合うか。 そこにある しかし 少し遠くに いま…

ズッシリ 重たい 朝が 開ける。 こんなに 丁寧な 尊い 朝を 見たのは はじめてで、 思わず 朝とは 何かと 考える。 人生で もっとも 尊い 朝は いつだろか。

天に 輝くその 光。 遠くに 輝くその 光。 どちらの 光も そう 変わりはしない。 天の光は 星であり。 遠くの光は 人であり。 暗闇に、 光りを見てて 思うこと。

鼻に秋

プン、と 吹いてく 風ひとつ。 どうやら 秋のカーテン 通り抜け 甘い香りが 降ってくる。 細めた目先に 見えたのは ブイブイ いわせる 車なの。

不自由

右に 左に 吹く風が、 シュンッと 伸びる 飛行機雲が、 シャンシャン 照らす 太陽が、 囲んで 包める この世界。 自由奔放。 好き放題。 そんな中、 決まった 時間に 決まった ことを 決まった 誰かと 決まった 何かを する自分。

自然現象

重たい なみだを 流したら、 それに 理由を つけなきゃ ダメなのか。 感情が 上下に 激しく 動いたら、 それにも 理由を つけなきゃ ダメなのか。 急な 涙を流しても 自然の現象よ。 そう、言い 流してたい。 重たい 重たい 涙の理由が 分からない。

何もない

何もない。 差し上げるものも 何もない 役立つものも 何もない 喜ぶものも 何もない 楽しむものも 何もない そう 何もないんだってば。 どれだけのものを どれほどのものを 小さな懐から 出せばいい。 どこから どうして 出せばいい。 押したって 引いたって…

ふわり

崩れては 散って 崩れては 散って くずれては ちってく。 プカプカと 頭のてっぺんに 雲でも 浮かんでるよう。 星空の下 鹿の 後姿が チラリと見えた。 昨夜の夢を ふと 思い出す。

ない、 ない、 ない。 なにも ない。 そんな 夜に限って 月の雫が 目立って 光る。 ない中に 誰の 何が あるのか 分からない。 ない中に ただ 誰かの 何かが あるみたい。

いきる

大きな 何かに 動かされ、 ひとつの道を 決めている。 意識を 外れた どこかの層で 読めない力が 指示をする。 あっち こっち そっちだよ。と。 何を 自由と するかは 別にして、 いま ここの 奥行き、 広がり、 深さを 感じてる。 消えては 落ちてく この瞬…

もういいよ。

あれも これも、と もう 思っていない。 これと これ、と 決めている。 ずっと ずっと 決めていた。 恐れることも 怖がることも 不安になって 孤独になって 考えて 考えて ウジウジするのは いまは、もう 無駄なよう。 はみ出た肉を 折りたたみ、 引きずる …

姿勢

4:20 そりゃ 痛かろう。 腰曲げ 動かず 止まったままの 姿勢なら。 5:45 最後の 頑張りか。 ぐるり、と 回転したのに 力尽き ピンと 起立できずに 止まったか。 これ、現実さ。 ごくろうさん ごくろうさん。 腰曲げ 下向き ツイニ 止まった 姿勢の あの子に …

カンパイ

高らかに その 静かな 夜に カンパイした。 黄色い お月に 黄色い ドリンク よく似合う。 たった ひとりが 心地いい。 片手を グンッと 伸ばす。 目で見る はずの 静けさを 今日は耳で 静かな夜を 愛でていた。 しんっ と静まり返った 夜を 確かに この耳で …

紫色

空に 滲んだ 色みて 驚いた。 靴に 滲んだ 色みて ハッとした。 下向き 上向き うなずいた。 パープル色の 靴と空。 真似した 空みて ニンマリ 笑う。

思いを 放り出さずに 隅へ 隅へと 追いやると。 追いやった ヤツが そこにいる。 黒い 暗い ヤツ等が そこにいる。 下向きに 二本足で立てなくて 世界中の 不幸を 背負ったように 感じてしまう。 大袈裟に 大真面目に 大ばか者に 思えるけれど 仕方ない。 ど…

震えた 星が 落としたものは なんだろか。 熱い 欠片なのか それとも 冷たい 欠片なのか。 尖って いるのか。 丸みを 帯びているのか。 キラリと 光って おっこちたのは なんだろか。 暗闇の中に 小さく 小さく 光る たった ひとつの くず星 見ながら 思う。…