世の中

どろぼう

留守中 どろぼうが 入ったとさ。 なに、 フォークを 持って 角に牙 はめ 顔は 真っ赤に 色塗りさ。 でも、その どろぼう、 70代の ホームレス だった、そ。 フォークを スプーンに。 角も牙も 取り外し。 ピンクに 頬を 染め、 下を向く。

愚か者

飛び込んできた あなたの 呼吸 苦しそうで 悲しそうで ウロウロ しました。 灰色の不安が 出口を 探しに ウチに 来たみたい。 どうか 落ち着いて どうか ゆっくりと。 次の瞬間 窓 閉め 息を 殺し そっとする。 苦しくて 悲しくて こちらへ おいでと 手招き…

のろのろ

わたし 好きなのよ。 こういう 食べかた こういう 生きかた こういう 見かた こういう 考えかたが 好きなのよ。 当てはまらなく いい。 当てはめなくて いい。 ジグソーパズルの ピースは たくさん あるのだから。 あっち こっちに 並べて やればいい。 不自…

ズレ

ほんの 少しながら ズレてゆく 右に 左に ズレてゆく 縦に 横に ズレてゆく。 そのうち 身体が 慣れてきて、 ズレている それでいい それでいいよと 認めたい。

希望

引き出しに あったかい やさしい ニコニコ 詰まってる。 溢れ出そうで 嬉しくて ギュッと 抱きしめ 夢を見る。 抱えた 大きさ 感じ取り 希望に 変えて 前を向く。

黒白

おとなに なって、 黒が よおく 見えてきて、 ついに 目をつぶって 耳をふさいで 静まり返った ここに 居たくなる。 それでも 一歩 踏み出すワケは 一瞬の 白をみたいから。 いつまで みえるの この色は。 おそる おそる 隙間を 開けて 覗きます。

逆さ

テク テク、 テク テク。 どうやら 反対向きに 歩いてた。 なのに 細い 光の道が 一本 見えていて、 私の行く道 できていた。 みんな行く道 険しくて 周囲を気にして 歩いてた。 私はその道 拒絶して 反対向きに テク テク、 テク テク。 歩いてた。 そおし…

うすい 黒い 膜を かぶってる。 向こうが 透けるほどに 薄いのに 内から何も 見えやしない。 サッと ナイフを 入れたなら 何が見えると 言うのだろ。 きっと もう一枚、 薄い 暗い 膜が もう一枚 見えてきそ。 何度 ナイフを 入れるのか 傷つき 傷つけ 何が…

歩む

タプタプ しながら 歩いてた。 どこいくの。 知らないよ。 どうするの。 知らないよ。 身体と 頭の 会話も 聞こえず。 ずっと ずっと 歩いてた。 画用紙に ポツ ポツ 型つく あしの跡。 右に 左に 揺れながら、 前に前にと 進んでた。

スケッチブック

ガタガタ 揺れる 車内で ササササッと 音がする。 スケッチブックに ひとを 描いている。 服も 鞄も 開けて。 何かを 閉ざして 描いている。 真っ白な キャンバスに いくつもの 線を 描いている。 動く手が 動く視線が ケータイの それではなくて 生々しい。…

ヘンクツ

奴は、 ヘンクツ だったなぁ、と Aが言う。 わたしから 見れば あなたも ヘンクツ なのだけど。 そう思って ないらしい。 言わんとすることは 分かる気もする。 ただ 皆どこか ヘンクツで どこか 付いてけない。 何よりも ヘンクツなのは そんな ヘンクツ同…

つよさ

いったい どれほど 強くなれば よいのだろうか。 長い刃で 埋めつくされた こころの芯は ボロボロ ズタズタ どうすることも できやしない。 こんなに 幸せで 平穏で 何もない フツーの生活 なのに 辛くて 痛くて むずがゆい。 どんな つよさを もって 生きれ…

破壊

破壊。 そう 書かれた 地面を踏んだ。 破壊。 そう 書かれた 黄色い紙をみた。 破壊。 そう 書かれた デジタル カメラをみた。 破壊。 そう 書かれた はみ出た にくをみた。 そこら中に 見える 破壊、の にもじが 少々、不安にさせる 少々、期待もさせる。 …

モノサシ

モノサシが ある。 古びた たった 一本の モノサシ、だ。 そいつで 何を 測ろうか。 そいつで 何を 決めようか。 じっと 見る。 いやいや 見なくて 結構。 古びた モノサシは 変わりは しない。 といって 新しい モノサシも 変わりは しない。 そんな話は 止…

理由

平和のため 文化のため 幸せのため 家族のため 子どものため… やさしくて ここちいい ピュアな コトバが 並ぶ。 誰も 何も 言わせない 議論もさせない 意味が 付与されて、 羽を伸ばして 舞う コトバたち。 その名の下に 皆、平等に そうなのか。 その名の下…

「ある」「なし」

「ある」こと これが 不幸せに 感じてしまう。 「ない」こと これが 幸せだろうと 感じてしまう。 子どもの頃は 「ある」こと 自体が 信じられず 夢であった。 夢のままで よかった、のか。 「ある」ことが 溢れかえり 「ある」ことが 当たり前で 「ある」こ…

女性

コンビニの 雑誌コーナーで 女性のカラダを 目にしてしまう。 ドカンっと 殴られ傷を負う。 それは、とても 暴力的で。 誰の視点か 誰への視点か。 ドロリとした 欲望の瞳の中に 吸い込まれ なぜか 痛々しく感じる 消費ブツ。 見方を変えると また、違うのか…

近づく

さくらに 一歩 近づいた。 物足りずに さくらに 二歩 近づいた。 三歩目は 覚えていない。 ファインダー越しの そのさくら。 役目を終えて 背を向けて ゴツゴツの地面に 何をみる…。 茂みに隠れて こっそり ひっそり。 さくらを みたのか、 それとも 他の何…

怖い

怖い 怖いよ と囁く声に 返す言葉は ピュー ピュー 声にも ならない。 顔を手で覆い 耳を軽く塞いで 歩く道。 聞こえてくるのは 隙間風? 見えてくるのは 隙間光? 不安は募り 疑問は溢れ 終には この有様。 怖い 怖いよと 雄叫び 騒ぐその先に やってくるの…

あちらとこちら

話にく そうに 歩きにく そうに 伝えにく そうに… 生きる人々。 たった 二枚の 扉が 仕切る 世界を ついつい 忘れてしまう ついつい 呆けてしまう。 1枚 2枚。 フゥ〜と。 ポカポカ陽気に 包まれて。 ついつい 忘れてしまう ついつい 呆けてしまう。 あちら…

抜ける

ガタンっと 落ちた。 力が 抜けて 気も 抜けて 風が 抜けて 2.5秒が 経ったころ。 見上げた 空に ズレた 月をみた。 あの世と この世の 裂け目か、と もいちど 見上げた 空は 真っ暗 だった。

逢える

準備は できた そう 告げている。 もうすぐ 逢える 気がしている どこかの あなたに 逢える 気がしている ただそう 告げている。 ほっこり ほんわり 温かな 気持ちで すべてを 受容れよう、と。

あらすじ

人のあらすじなんて いらない そう思いたい。 何生まれ どこ育ち どこ出身 煩わしい 付属品。 取っ払って 語ってほしい 心からの言葉で 説いてほしい 何者にも 邪魔されない あなたの声を 聞いてみたい。 人と人との 間で生きる この世には 確かな 何かより …

電機屋さんで

ひと、ひと、ひと ひとの中に埋もれて 真っすぐ 自分の道に 向かうのは なかなか、 むつかしい。 目やら 耳やら 身体やら 自制をなくてし 破壊寸前。 そんなとき ねっとり べっとりした 言葉で 我にかえる 「家じゅうの」 「すべての〜」 「これたった一本で…

それでも、やっぱり

溢れてほしい 満ちてほしい 天から 降り注いでほしい 地から 湧き出てほしい あっても あっても 決して 無駄でないもの それは やっぱり 愛だと思う この社会に この世界に。 そうしたら きっと、 責められることも 責めることだって なかったハズだから 山…

人生

人生30年 そんな時代は いつだったのでしょう。 人生80年 こんな時代は いつからなんでしょう。 30年の時代に 生きた人が 80年の時代に 生きることになったら 80年の時代に 生きている人が 30年の時代に 生きることになったら…。 人生30年 本当に短いのでし…

死を想う

ナイジェリアの 宗教対立で亡くなった 数百人の死を想う 神戸の震災で亡くなった 6434人の死を想う ハイチ地震で亡くなった 数十万人の死を想う 昨日自ら死を選んだ 母娘の死を想う 踏切で亡くなった 91歳と84歳の夫婦の死を想う 新聞にも出ない 一人死を想…

静まり返った 車内。 咳ばらいが 響く。 いびきが 響く。 ガタンゴトン リズム良く 電車は揺れる。 皆 どこにゆくのか それぞれの 世界に入り浸り 他には 誰もいない。 ぶつかって 人を押しのけて 足を踏んで 我が道をゆく。 口はないのか 意思はないのか 思…

答え

学校 その場にいるときの 答え それは どこかに 隠れていた 必死で 血相変えて 探してた。 今思えば 小学1年生、6歳の頃から 隣近所をキョロキョロしてた。 どこかに答えはないかと そう、周りが気になる あの人も この人も あっちの人も なんだか気になって…

現実は…

おじいちゃん デイケアへ通い つぶやく ぼやく 愚痴る。 例えば… 娘、息子、孫の 自慢話をしてくる。 アイロンの掛った 綺麗なワイシャツを 着てくる人がいる 自分の服は…。 ネクタイを締めて 来る人がいる。 隣の人がイヤらしい 話をしてくる。 続く、続く…