中指

その子は
弱かった。
赤い涙を
流して
腫れた
身体で
それでも、と
生きてきた。
ぐるぐると
包帯に
巻かれて、
分からない
名前の
薬に浸される。
その上
誰からも
見られないように
分からないようにと
追いやられる。
今はもう
弱くない。
いつの頃やら
隣の子と
同じ顔して
動いてる。
私の中指。
多くが
何か抱える
身体の違和感。
思い通りに
ゆかない
身体の調子。
できれば
上手く
付き合いたい。
できれば
やさしく
付き合いたい。
それが
どんな顔を
していても。